純白ノ死神
「今日の俺はツキまくりだぜ!」
金髪のセールスマンは薄汚れたビルの中を一人歩いていた
「まさか「銀髪の少女」がたった2時間で見つかるとはな、あのクソ野郎が!なぁ〜にが「昇進のチャンスだ、まぁせいぜい頑張れ」だ、ざまぁ見やがれ!!」
暗い廊下に響く靴音、少女が寄り添ってきた時の顔が思い浮かぶ
「まさにビデオに出演するために生まれてきた様なガキだったな、爪を剥がされる瞬間の顔が思い浮かぶぜっ あれなら変態野郎共も大喜びだ クククッ」
殺人を見て何が面白いのかはわからない、ただ高く売れさえすればそれでいい……裏社会の住人として至極真っ当な思考回路を持つ男は上機嫌だった
「お〜い ピート、ジャック、アレックス、マイク! いい画は撮れたか〜? ちゃんと顔は残しただろうな?」
錆び付いた扉を開く、「駅への近道」ならぬ「天国への扉」だ
耳に届いたのは扉の軋む音
目に映ったものは壁や天井を飾る弾痕、散りばめられた元は人間だった物、そして……
真っ白な寝室に立つ、真っ赤なコートを着た殺意
金色の瞳を持ったーなにかとてつもなく恐ろしいものーは少女の声で話しかけてきた
「あら、おかえりなさい」
「………………」
「さっきは道案内ありがとう、おかげさまでお気に入りのお洋服がボロボロよ」
(………………は?)
「ああ、でもあのアイスクリームはとてもおいしかったわ だからお礼に……」
(なんだ? さっきのガキ? 双子……だったのか?)
近づいてくる死、伸びてくる右手
(いや そんなことはどうでもいい! とにかく逃げっ!!)
ゆっくりと首に添えられた 柔らかい手、満面の笑み
「ーーーっ!!!」
「殺してあげるっ♪」
圧倒的な腕力、小気味のいい音ーーーー暗転…………